織物はタテ糸とヨコ糸からなりますが、タテ糸を織機にかけられるよう整えるのが「整経」です。タテ糸の本数と長さ、幅などを揃え、反物の幅となる38センチの間に約9000本の糸を並べ揃えます。
浜ちりめんは、ヨコ糸に強い撚りをかけるのが特徴です。1mに3000〜4000回転もの撚りをかけたヨコ糸は織り込まれた後、元に戻る力によって生地表面に「シボ」と呼ばれる独特の凹凸を生み出します。撚糸は強ければ強いほど鮮やかなシボを生みますが、この時に生糸が切れないように常に水で湿らせることが重要になります。この水を掛けながら撚る手法は八丁撚糸と言われ浜ちりめん独特の撚糸技法です。
あらかじめ準備されたタテ糸、ヨコ糸を織機にかけ、熟練した技術で織り上げていきます。ヨコ糸の撚りの強弱、撚糸方法の違いによって、織りあがる生地の風合いは千差万別となります。
織りあがった生地はまだゴワゴワしています。これは生糸の成分のひとつセリシンという膠質が絹の繊維にまだ残っているため。精練工程では、琵琶湖の深層水を使用して、このセリシンや汚れ、不純物を除去します。世界屈指の軟水である琵琶湖の水は浜ちりめんをしなやかに仕上げるのです。
精練された生地は、脱水・乾燥した後、指定された幅と長さに整えられ、さらにきびしい検査を経て、品質認定され、量目、等級、組合マークが押印された後、出荷されます。